アスリートに多い踵部脂肪体炎(Heel Fat Pad Syndrome)の施術について
踵部脂肪体炎(Heel Fat Pad Syndrome)は踵を地面に接地すると痛みが発生するため、運動を中止することになってしまいます。この踵部の痛みは、ランナーなどアスリートに非常に多い疾患です。この症状の改善には、先ずHeel Fat Padの炎症を抑えることと保護することを基本に対処します。
同時に、踵部への負担を軽減する方法として、足底筋膜に対する施術が効果的です。理由は、イラストのように踵骨の骨膜を足底筋膜が引っ張り、その結果として踵部への炎症を発生させている可能性があるからです。症状が長期に及ぶと、この足底筋膜が骨膜を牽引して、その骨膜でできた空間に骨棘を形成することも考えられます。
画像診断で骨棘形成が確認されればよりその可能性は高いと考えます。但し、この骨棘形成されていても、足底筋膜に対する施術により症状が緩和することも少なくありません。この足底筋膜の緊張緩和には、グラストンテクニックと足根骨への矯正を行っています。グラストンテクニックは拘縮した筋膜に効果を発揮します。またこの足底筋膜の拘縮により足根骨において特に中足骨の上方変位を多く見受けます。この中足骨を正しい方向へ矯正することにより、踵部脂肪体炎(Heel Fat Pad Syndrome)の回復を早め、より安定した足底アーチの状態に改善させることが可能と考えます。
参考資料:Anatomy Trains second edition 著者:Thomas W. Myers 訳:板場英行 石井慎一郎 (医学書院)