臨床報告と治療法について:高齢者の入院中の安静による歩行困難な腰痛
臨床報告と治療法について:高齢者の入院中の安静による歩行困難な腰痛
症状:70代後半の女性で肺炎で入院中に左下寝てばかりいて、徐々に腰痛が悪化する。1週間の入院後、歩行困難になる。寝返りでも腰部に激痛は走り、お嬢さんに連れられて来院する。
分析:来院時、整形外科テスト&可動域テストは、痛みのため実施不可能な状態であった。歩行は、お嬢さんの手を借りて、どうにか前のめりで歩いている様子。ベッドに横になるのがやっとな状態で、その状態から少しでも動こうとすると腰部に激痛が走る。圧痛は、腰部自体にはなく、仙腸関節に存在する。骨盤の後傾と股関節屈筋群の拘縮によるものと判断して施術をすすめる。
施術:施術は、うつ伏せや上向きにはなれない状態であったので、横向きで行う。右仙腸関節の安定を目的に、初めは股関節を屈曲位で行い、徐々に足を伸展位にしながら股関節屈筋群の筋膜を伸ばしながら、右仙腸関節の後方へのズレを少しずつ取っていくようにする。同じ動きを何度か繰り返すうちに、痛みが消失し、15分後には、立位になってもらうとすぐに腰が伸び立つことができ、歩行も可能になる。一週間後の来院時には、腰痛の消失とお嬢さんの手を借りずに歩行ができるようになる。
今回の症例は、入院による高齢者の安静による弊害である(長時間の臥位)。
高齢者の場合、通常でも長時間座っていることも多く、
それにプラスして、入院などで横向き寝が続くと、
足の付け根の筋肉が固まります。(下記イラストのように)
その筋肉とは
下のイラストにある大腰筋や腸骨筋などの股関節屈筋群です。
この股関節屈筋群の拘縮が骨盤の後傾を悪化させます。
また長時間寝ていると筋力は落ち、関節の安定性も低下します。
特に通常でも骨盤が後傾している方は注意が必要です。
(日常の歩行も少なく、座っていると、
ねこ背や腰が丸くなっている方は要注意です)
骨盤の後傾は脊柱を支える力を失い仙腸関節のズレを誘発し、
今回のような歩行困難、寝返り時の激痛が起こる要因になるのです。
治療は、これら股関節屈筋群の正常な働きをさせることと
仙腸関節のずれを調整する必要があります。
カイロプラクティックでは、骨盤の後傾に対して適切な施術が可能です。
高齢者の施術では、骨密度や変形など注意することが多々ありますので
信頼できるWHO基準のカイロプラクター(JCR登録カイロプラクター)
に見てもらうことをおすすめいたします。